かながわの水
丹沢山系から湧き出る珠玉の一滴
東北の八甲田酸ヶ湯の水、養老山系の水、そして関東の丹沢山系の水を総して、日本の三名水といわれています。神奈川の酒造場は、この丹沢山系を源とする相模川や酒匂川からの豊かな伏流水を仕込み水として利用しており、そのため2つの川に沿うように分布しています。 環境省が選定した「名水百選」にも山北町の酒水の滝・滝沢川と秦野にある弘法の 清水、今泉湧水池、曽屋神社、春巌水源といった秦野盆地湧水群が選ばれており、丹沢山系の水がいかに「美水」であるかがわかります。横浜や横須賀に寄港する船は、今も食料ばかりでなく必ず神奈川の水を補給していきます。これはただ神奈川の水が旨いというだけでなく、赤道を越える長い航海においても水が変質しない、という定評があるからです。まさに珠玉の一滴なのです。日本酒の約80%を形作る、日本酒の命ともいえる水。水は、酒造りにとって最も大切なものといえるでしょう。神奈川の酒は丹沢山系の豊かな伏流水によって、その屋台骨をしっかりと支えられているのです。
日本酒の種類
神奈川は比較的小規模な酒蔵が多く、全国的にみても県全体の平均精米歩合が非常に高いなど高品質な手づくりの日本酒となっています。
日本酒の種類は主に原材料、精米歩合、製造方法の違いによって分けられます。
日本酒の種類は主に原材料、精米歩合、製造方法の違いによって分けられます。
吟醸酒:固有の香り、軽快でなめらかな味
酒造りに最も適するとされる米だけを使用し、さらにその表層部の40%以上を磨いて作ったお酒で、新鮮な果実の香りにも似た吟醸香のある軽快でなめらかな味を楽しむことができます。
純米酒:コクがあり深い昧わい
正に日本酒の原点。米と米麹だけで造られているお酒で、香味及び色沢が良好なものです。「米の旨みそのもの」が特徴の純米酒は、蔵元の味が素直に表れるお酒です。精米歩合が60%以下の純米酒は、「特別純米酒」と呼ばれます。
本醸造酒:スッキリとした昧わい
米と米麹に味の調整のために、醸造アルコールをごくわずかに加えたお酒で、スッキリとした味わいが特徴です。
普通酒
前記以外のお酒で、米、米麹、醸造アルコールの他に糖類を加えたものもあります。
生酒・生貯蔵酒: フレッシユな搾りたての味と香り
一般的な清酒がビン詰めされるまでに2回の加熱殺菌処理(火入れ)をしているのに対し、加熱殺菌処理を全くせずビン詰めをしたものが生酒です。又、生のまま貯蔵しビン詰めに際して加熱殺菌処をしたものが、生貯蔵酒です。どちらも生酒特有のフレッシュな搾りたての味と香りが楽しめます。
それぞれラベルに種類が明記されていますので、これらを参考にお選びください。
四季の日本酒
所蔵(有)金井酒造店「北村明道画伯による酒造りの絵」
四季折々、自然や風情などさまざまな変化を楽しみながう飲むお酒。 昔から私たち日本人は、お酒によって季節の移ろいを感じ、歴史を創造してきました。 日本酒にまつわる春夏秋冬をと紹介しましよう。
春 - 菖蒲酒(しようぶざけ)
端午の節句に菖蒲湯は有名ですが、菖蒲酒はいかがえしょうか? 燗をしたお酒の中に菖蒲の茎を浸す香り高いお酒ですが、飲むと邪気払いになるといわれています。
夏 - 夏越しの酒(なつこしのさけ)
田植えの終わる6月の晦日に、半年間の汚れを流す意味で呑むお酒です。ほっと一息入れ、これからの暑い夏を乗り切ろうとするための暑気払いのお酒です。
秋 - 月見酒(つきみざけ)
旧暦8月15日は、中秋の名月。だんご15個に実りの初物、さらにススキの穂や秋の七草を月に供え、満月の光を浴びながら酒を酌み交します。夜露のついたものを食べると長生きするという伝説があるため、必ず屋外で行います。
冬 - 屠蘇(とそ)
「蘇」というのは悪鬼を意味し、それを「屠る」という中国の風習をまねたもので、、十種近い薬草を浸した酒を飲んだそうです。明治時代になってから味醂に屠蘇散を入れるようになりました。
日本酒のできるまで(標準的な純米酒の製造行程)
日本酒は並行複発酵というきわめて巧妙で複雑な、世界に類をみない醸造法により、的確な管理もとで造られます。
精米
水汲み
水洗い
米むし
精米・蒸米
酒造専用に厳選された玄米を、普段私達が食べているご飯粒の半分ぐらいの大きさになるまで磨き(精米)、蒸します。蒸米はこうじ造り、酒母、もろみの仕込み使われます。
放冷
麹造り
酛摺り
添え仕込み
こうじ
蒸米に種こうじを植え、こうじを造ります。こうじはもろみ、酒母に入れて米のデンプンを糖化してい役割をはたします。
酒母
酒母は蒸米、水、こうじに酵母を加えたもので、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したものです。
もろみ
もろみは酒母にこうじ、蒸米、水を加え、低温で25〜30日間、こうじが米のデンプンを糖化し、その糖を酵母がアルコールへと分解する並行複発酵を行います。
本仕込み
酒しぼり
上槽
圧縮機でもろみを絞り、酒と酒粕に分けます。
濾過
オリを濾過して、きれいにします。
火入れ
60度〜65度に加熱殺菌して、酵母の働きをとめます。
貯蔵
低温で一定期間熟成させます。
びん詰
それぞれの種類別に酒質を整え、火入れ殺菌を行い、製品になります。
『冷や』と『燗』どちらがお好き?
日本酒の温度を表すときに、一口に「冷や」、「燗」という言葉で、かたづけてしまいがちですが、日本語ならではの微妙な言い回しがあります。
暑気払いには冷やした日本酒が最適ですが、俗に言う「冷や」は冷やしたものではなく常温を表します。氷を入れたり冷蔵庫に入れて冷やしたものは「冷酒」といい、冷やす表現は雪冷え(5度)、花冷え(10 度) 、涼冷え(15 度)というように区別します。反対に、寒い時期になると恋しくなる燗は、昔は「直澗」といって直接火にかけて温めていたそうです。電子レンジでチンするやり方も、あながち間違いとはいえないかもしれません。とはいっても、やはりお銚子に入れた日本酒をお湯で間接的に温める方法が最適です。欄には30度前後の日向燗、35度位の人肌燗、40度前後のぬる燗、45度位の上燗、50度前後の熱燗、55度以上のとびきり燗というように、なんともいえない味わい深い表現があります。
酒を自分の好みで温めて飲むというこのスタイルは、日本酒でしか味わうことのできない楽しみの一つです。
暑気払いには冷やした日本酒が最適ですが、俗に言う「冷や」は冷やしたものではなく常温を表します。氷を入れたり冷蔵庫に入れて冷やしたものは「冷酒」といい、冷やす表現は雪冷え(5度)、花冷え(10 度) 、涼冷え(15 度)というように区別します。反対に、寒い時期になると恋しくなる燗は、昔は「直澗」といって直接火にかけて温めていたそうです。電子レンジでチンするやり方も、あながち間違いとはいえないかもしれません。とはいっても、やはりお銚子に入れた日本酒をお湯で間接的に温める方法が最適です。欄には30度前後の日向燗、35度位の人肌燗、40度前後のぬる燗、45度位の上燗、50度前後の熱燗、55度以上のとびきり燗というように、なんともいえない味わい深い表現があります。
酒を自分の好みで温めて飲むというこのスタイルは、日本酒でしか味わうことのできない楽しみの一つです。